前回のコラムでは、年を取ると免疫力が低下する理由をご説明しました。加齢によって免疫細胞が衰えて減少することが、感染症に対する抵抗力を下げ、発がんや病態の悪化につながることをご理解いただけたのではないでしょうか。
今回は、最新の論文をもとに免疫の老化を食い止めるためにできることをご説明します。
免疫老化の抑制が期待できるもの
免疫活性化成分
免疫活性化成分とは、免疫システムを強化し、その機能を維持する働きを持つ物質です。多糖体、乳酸菌などが含まれます。これらの成分は、自然免疫を活性化し、体内の炎症を抑えることで、免疫老化を遅らせる役割を果たします。
抗酸化成分
果物や野菜、茶葉などに含まれる抗酸化物質で、免疫細胞の保護に役立ちます。抗酸化成分は、免疫細胞にとって有毒な活性酸素を消去し、免疫老化の進行が遅れることが期待されています 。ポリフェノールが豊富な食品を摂取することで、炎症性サイトカインの産生が抑制され、慢性炎症のリスクが低減することが示されています。
実生活での応用
免疫老化を抑制できるものがわかったところで、日常生活に取り入れるためにはどうすればいいのでしょうか?
多糖体を含む食品、例えばキノコ類(シイタケ、マイタケ)や海藻を積極的に摂取することが考えられます。また、ポリフェノールを多く含む果物(ブルーベリー、りんご)や野菜(ほうれん草、ケール)、お茶(緑茶)を食事に加えることも効果的です。さらに、サプリメントとして摂取する方法もありますが、自分の体調や必要に応じた適切な量を見極めることが重要です。
まとめ
免疫老化は避けられない現象かもしれませんが、免疫活性化成分を適切に取り入れることで、その進行を遅らせることができます。科学的根拠に基づいたこれらの成分の摂取は、年齢に関係なく、健康で豊かな生活を送るための一助となるでしょう。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。どうかお体を大切に。
イマジン・グローバル・ケア研究員より
引用
Kim ME, Lee JS. Immune Diseases Associated with Aging: Molecular Mechanisms and Treatment Strategies. Int. J. Mol. Sci. 2023, 25;24(21):15584.
Licastro F, Candore G, Lio D. et al. Innate immunity and inflammation in ageing: a key for understanding age-related diseases. Immun Ageing 2:8(2005).