皆さんこんにちは。順天堂大学医学部免疫学講座の奥村です。
なんとなく体調がすぐれないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、その原因は“冷え”かもしれません。「冷えは万病の元」といわれるのにはちゃんと根拠があるのです。最近は、からだを温めて健康や美容を維持しようとすることを「温活(おんかつ)」と呼んだりもするようですが、今回は、体を温めることと免疫力の関係についてお話しします。
なぜ、体が冷えると病気になるの?
免疫力アップには、体を冷やさないことが重要です。体温が35度台になると、免疫の最前線で戦うNK細胞などのリンパ球のはたらきが弱るのです。また、全身の血行が悪くなり、老廃物や病原菌が体内に残り続けてしまいます。
風邪をひくと熱が出ますが、これは体が自身の熱を上げてリンパ球の働きを活性化しようとしていることのあらわれです。
人間の体にはホメオスタシス(生体恒常性)という機能がありますから、本来、体温は簡単に上がったり下がったりするものではありません。しかし、短時間でも刺激して体を温めるようにすることは免疫力アップに効果的です。
体を温めるにはどうすればいいの?
1.バスタブで温まりましょう。
特に若い方は、お風呂をシャワーで済ませることも多いそうですが、もったいない!シャワーを浴びていた人がゆっくり浴槽につかるようにしたところ、1週間で疲労の指標となる数値が改善したという実験結果もあるんですよ。
2.就寝時にもひと工夫。
湯たんぽを使う、シーツの下に毛布を敷くなどして、寝ている間も冷えないようにしましょう。ただし、湯たんぽでのやけどにはくれぐれもご注意ください。
3.温かい飲み物、食べ物で内側から体を温めましょう。
体を温める食材についてよく言われるのが、生姜が効果的だということです。これについては、医学的にはっきりしたデータはありません。しかし、たしかに体はぽかぽかしてきますし、東洋医学の世界では重要な薬効成分とされ、冷えからくる諸症状に対して処方されます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
どうかお身体を大切に、毎日を笑顔でお過ごしください。皆様の健康をお祈り申し上げます。
奥村 康
著者情報
奥村 康 先生
順天堂大学医学部特任教授
1942年生まれ。千葉大学医学部卒、同大学院医学研究科修了。スタンフォード大学医学部留学、東京大学医学部講師、順天堂大学医学部免疫講座教授、順天堂大学医学部長を経て、現在は同大学医学部特任教授(免疫学講座)・アトピー疾患研究センター長。ベルツ賞、高松宮賞、日本医師会医学賞などを受賞。サプレッサーT細胞の発見者。臓器移植後の拒絶反応を抑える新手法を開発するなど、免疫学の国際的権威。