酒を「薬」にするために – 長生きするためのお酒の飲み方とは

 皆さんこんにちは。順天堂大学医学部免疫学講座の奥村です。

 今回は、お酒についてお話ししましょう。

 もちろん、「飲むな」なんて言いませんよ。キーワードは「不良長寿」。お酒は私も大好きです。ただし、お酒は、飲み方によっては「毒」にもなります。百薬の長といわれるお酒を「薬」にするために、飲み方のコツを伝授します。

季節を問わず暖かい飲み物を飲むことを習慣にしましょう

適量は“1日1合”って本当?

 お酒で起きる問題といえば、まず挙がるのが“二日酔い”ですね。また、過度な飲酒を長期間続けると、血圧が上がるなどの問題も起こってきます。

 適度な飲酒を心がけたいものですが、その“適度”とはどのくらいなのでしょうか。

 厚労省では、1日平均純アルコールにして約20gとしています。ビールなら中ビン1本、日本酒なら1合といったところですね。

 ただし、アルコールへの対応力は遺伝的な要因も関係しますし、個人差がかなりあります。またその日の体調によってもずいぶん違ってきます。ひと言に“適量”と言っても難しいので、自分の経験や体調と相談してみてください。二日酔いしない程度の酒量を心得ておいてください。

 適度なお酒は、食欲や睡眠を促し、ストレス解消にも役立ちます。いつまでも楽しくお酒を飲めるよう、自分の適量を守りましょうね。

量だけでなく、飲み方が重要です

 サウナや運動で大量に汗をかいた後にビールを飲み、水分を摂取したつもりになっている人がよくいますが、これは大きな間違いです。アルコールには尿を出やすくする作用(利尿作用)があります。特にビールはカリウムを多く含むので利尿作用が大きく、飲んだ量以上の水分を体外に排出してしまいます。さらに、肝臓でアルコールを分開始する際に水分を必要とするので、血液の中の水分がとられ、脱水状態になります。

 喉の渇きをお酒、特にビールで癒やすのは、脳梗塞や心筋梗塞の引き金になりかねないので注意が必要です。

お風呂上りのビールは注意

 夜、お酒を飲む場合は、遅くとも12時までに。どうしても飲まないといけない時には、一緒に水も飲むようにしましょう。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
どうかお身体を大切に、毎日を笑顔でお過ごしください。皆様の健康をお祈り申し上げます。
奥村 康

著者情報
奥村 康 先生
順天堂大学医学部特任教授

1942年生まれ。千葉大学医学部卒、同大学院医学研究科修了。スタンフォード大学医学部留学、東京大学医学部講師、順天堂大学医学部免疫講座教授、順天堂大学医学部長を経て、現在は同大学医学部特任教授(免疫学講座)・アトピー疾患研究センター長。ベルツ賞、高松宮賞、日本医師会医学賞などを受賞。サプレッサーT細胞の発見者。臓器移植後の拒絶反応を抑える新手法を開発するなど、免疫学の国際的権威。