NK細胞を活性化させる6つのポイント

 皆さんこんにちは。順天堂大学医学部免疫学講座の奥村です。

 今回は、免疫の要であるNK細胞を元気にさせる6つのポイントをご説明します。LINEの方で、NK活性要因チェックを受けられている方は、「この要因が、なぜNK活性を上げるのか、または、下げるのか?」と疑問にもたれた方もいらっしゃると思います。それを、ここで解説していきましょう。NK活性要因チェックがお済みでない方は、ぜひ一度やってみてください。

さて、本題に入りましょう。

 NK細胞を元気にさせておくには、次の6つのポイントを押さえておく必要があります。

1.年齢の影響

 60歳前後からNK細胞の活性がぐんとさがってしまうので、50代になったらそろそろNK細胞の活性を高める生活を意識していきましょう。

2.生活リズム

 免疫力は昼は高くて、夜休む時は低くなったりと1日の中でもリズムで動いているんです。徹夜したりすると、そのリズムが崩れてNK細胞は下がってしまうので規則正しい生活が重要なんです。

3.精神・神経のストレスの影響

 ストレスにも種類があり、何かに立ち向かうストレスと、受け身なストレスがあります。NK細胞を低くさせてしまうのが受け身のストレス、悲しいストレスなんですね。

4.適度な運動

 健康のためには、適度な運動は欠かせません。しかし、運動前後の「NK 活性」を測定した研究によると、運動中は運動の強さに依存して「NK 活性」が一時的に増加するものの、運動の終了直後から急激に低下し始め、その低下の度合いは運動の強さに依存することが示されています。健康維持のためには“頑張りすぎない”ことが大切ですよ。

5.体温

 免疫力アップには、体を冷やさないことが重要です。免疫細胞が活発に働くのは、深部体温(内臓など体内の中心部の温度)が37度以上、皮膚温(わきの下など、体の表面の温度)でいうと36.5度以上の時です。体温が35度台になると、免疫の最前線で戦うNK細胞などのリンパ球のはたらきが弱るのです。

6.食事

 栄養バランスのとれた献立が理想的なのですが、嫌いなものを我慢して食べていると、かえってストレスがたまってしまいます。人間とは、体内で不足している栄養素を本能的に求めるものです。その時々に食べたいと感じるものを、楽しい環境で食べるのが一番ではないでしょうか。

最後に

 ポイントを押さえたところで、実践していただきたいのが「笑うこと」です。私が行った研究で、リウマチの患者さんで特にNK細胞が低い人に漫才を観てもらってゲラゲラ笑った後にNK細胞の活性を調べたところ、非常に活性が上がった結果が得られました。日頃から笑顔でいることが、今すぐ簡単にできる最高の健康法です。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
どうかお身体を大切に、毎日を笑顔でお過ごしください。皆様の健康をお祈り申し上げます。
奥村 康

著者情報
奥村 康 先生
順天堂大学医学部特任教授

1942年生まれ。千葉大学医学部卒、同大学院医学研究科修了。スタンフォード大学医学部留学、東京大学医学部講師、順天堂大学医学部免疫講座教授、順天堂大学医学部長を経て、現在は同大学医学部特任教授(免疫学講座)・アトピー疾患研究センター長。ベルツ賞、高松宮賞、日本医師会医学賞などを受賞。サプレッサーT細胞の発見者。臓器移植後の拒絶反応を抑える新手法を開発するなど、免疫学の国際的権威。