開発物語

ブロッコリー多糖体の開発物語

イマジン・グローバル・ケア株式会社
創業者 木下弘貴
予防医学への思い

木下 弘貴 博士(保健学)

1967年生まれ。東京大学大学院医学系研究科修了。調剤薬局を開業し、全国110店舗まで拡大。後に、予防医学を志し、イマジン・グローバル・ケア株式会社を設立。

こんにちは。イマジン・グローバル・ケア株式会社代表で保健学博士の木下弘貴と申します。ここでは、我々がブロッコリー多糖体を開発するまでの物語をお話しさせていただきます。


私は、もともと調剤薬局を経営していました。

調剤薬局の顧客の大半は、慢性疾患の患者さんで、高血圧や糖尿病・脂質異常症などに対する薬を飲んでらっしゃる方が数多くいらっしゃいました。そういった薬は症状を改善させることはできても、根本的な治療にはなりません。

「病気になる前に助けられないか?」

と自問自答する日々でした。

毎日のように慢性的な疾病に苦しむ人々を目にして「自分にもっとできることはないか」という想いから悶々とする毎日でした。

病気を根本的に改善するには、食事・運動などの生活習慣を見直すことが最も重要です。しかし、誰にとっても、生活習慣を変えることは容易ではありません。

東京大学への進学

「苦しんでいる人の役に立ちたい。」

そんな想いから、予防医学を学びたいと東京大学医学部大学院に進学しました。

多くの人に健康になってもらうにはどうしたらいいのか?研究を通じてたどり着いたのは、

『そうだ、免疫力だ!』

病気を予防するうえで最も重要なのが免疫力だと気づき、免疫について研究を始めました。

免疫力を圧倒的に高める方法を探す中で出会ったのが、

カイコを使って免疫効果を測定する実験方法でした。

カイコを使って免疫効果を測る

なぜカイコ?と思われるかもしれません。

カイコは姿かたちこそ人と違いますが、

その体の仕組みは人とよく似ており、人体の器官にあたる組織を一揃い持っています。そして、人と同じ病気にかかり、同じ薬で治ることが分かっているため、新たな研究動物として注目されています。

東京大学と開発・特許取得
免疫効果の測定方法

東京大学の研究チームは、「ヒトの免疫を活性化する成分をカイコに注射して免疫が活性化すると筋肉が縮み、筋肉が縮んでいるほど注射した成分の免疫効果が高い」ということを発見しました。


この発見は世界的に権威のある科学誌「The journal of biological chemistry」に掲載されています。

この発見にもとづき、私たちは免疫効果を測定する技術を開発しました。

免疫効果の測定技術
1.カイコの頭部や内蔵を除去した筋標本を糸につるしておもりをぶら下げる
2.筋標本に免疫効果を調べたい成分を注射する
3.筋標本が縮んだ長さを測定する

この技術はとても画期的なものでした。様々な成分を注射して縮んだ長さを測って比較することで、どの成分が免疫効果が高いのかを、迅速かつ客観的に測定できるのです。

例えば、ヒトに免疫活性化成分を投与しても、即座に「免疫力が上がった」ということは言えません。ヒトやマウスを使って免疫効果を測定する場合、数週間は必要です。しかし、カイコを使えば、ほとんどリアルタイムで免疫効果を測定できるので、すぐに結果がわかります。
また、ヒトやマウスにおいて、異なる成分どうしで免疫効果を比較することは、細胞活性や症状緩和などの複数の複雑な指標を比較する必要があります。その点、カイコでは、免疫効果は縮んだ長さに表れるので、注射した成分ごとに縮んだ長さを比較すればよく、とても分かりやすいのです。

この技術を確立したことで、1種類の成分の効果測定に必要な試験時間を大幅に短縮されました。その結果、より多くの種類の成分の効果を測るために時間を使えるようになりました。

測定技術の革新性が認められ、東京大学と共同特許を取得しました。

免疫を大きく高める成分は何か?

東京大学ともに、この測定技術を使って、化学合成されたものではなく、自然に存在する「野菜・きのこ・海藻」を対象として免疫を高める食品を探しました。最初は、免疫を高めるといわれている「プロポリス」「アガリクス」「フコイダン」などを使って研究を始めました。

アメリカのスーパーフード
ブロッコリー

最終的には、5年間をかけて、果物、野菜、きのこ、海藻など数えきれないほどの食品を試験しました。しかし、よく聞く「健康に良い食品」からは、ある程度の免疫活性しか得られなかったので、意外と身近な食品に隠れた免疫活性効果があるとかもしれないと考えたところから、研究対象が広がりました。

一般的に緑黄色野菜、例えばトマトの赤やブロッコリーの緑など、野菜の色素にはファイトケミカルと呼ばれる健康成分が含まれるといわれています。そこで、色の濃い野菜は、免疫活性効果が強いのではないかと考えました。なかでも、アメリカで「スーパーフード」として注目されていたブロッコリーを試験しました。

その結果、ブロッコリーから100℃を超える熱で抽出した成分が、これまで試したどの成分よりも強い免疫効果を示すことを発見しました。

それが、ブロッコリーの中に含まれる多糖体、「ブロッコリー多糖体」です。

”糖”とありますが、甘い糖ではありません。多数の糖が連なってできた多糖体には、海藻のフコイダン、キノコのβ-グルカン、米ぬか、乳酸菌が作りだすものがあり、免疫活性化成分と広く知られています。

ブロッコリー多糖体は、フコイダンやβ-グルカン、ブロッコリースプラウトのスルフォラファン、プロポリスよりも活性が高いことも分かりました。

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世界初の、他の成分を圧倒する免疫活性作用をもつ成分の発見でした。

試行錯誤で開発した抽出技術

ブロッコリー多糖体を発見した後は、「高い活性をもつブロッコリー多糖体を、ヒトが毎日摂取できるほど安定的に多量に取り出すにはどうすればいいのだろう?」ということが課題でした。

この成分は強い免疫活性があるものの、通常調理ではほとんど取り出せず、また、この成分だけを選んで取り出す方法もありませんでした。そこで、我々は抽出方法を研究しました。

「どうすればあれほど高い免疫活性を繰り返し確認できるのか」「抽出条件はどういったものであれば良いのか」何千回にも及ぶ実験を繰り返しました。

その結果、100度を超える温度で熱でブロッコリー多糖体を抽出する際に、原料とするブロッコリーと水についての2つの重要なポイントがわかりました。

①ブロッコリーが新鮮であるほど活性が高い
②抽出水の純度が高いほど活性が高い

この重要な発見をもとに、温度と時間の条件、免疫活性を阻害する物質を取り除く工程を見直し、活性の高いブロッコリー多糖体を多量に抽出する技術を確立しました。

抽出技術についても共同特許を取得しています。

抽出のための自社工場の設立

抽出技術を確立したので、今度は抽出する場所を探しました。

どこか抽出できる場所がないか、日本中のあちらこちらの工場を回りましたが、残念なことに、条件が複雑で特殊な方法であったために、請け負ってくださるところはありませんでした。

「あと一歩なのに、諦めたくない!」その思いから、どうすれば良いか必死で考えました。

他社工場で条件に合うものがなければ、「自社で工場を設立すればよい!」

他社でお願いすることは諦め、自社工場を静岡に設立しました。鮮度の高いブロッコリーを使用することを徹底し、良質な水をふんだんに使用し、多量の高活性のブロッコリー多糖体を安定的に抽出することができるようになりました。

抽出工場(秘密保持のため一部をぼかしています)クリーンルームという、空気中のゴミやホコリ、浮遊微生物などの混入を防ぐ施設で抽出しています。

年表

2006年東京大学と共同研究を開始
2012年カイコを用いた免疫活性測定法と免疫賦活化物質の製造特許を米国で取得
ヒト臨床試験の実施
2013年カイコを用いた免疫活性測定法と免疫賦活化物質の製造特許を欧州・日本で取得
2014年ブロッコリー多糖体抽出方法の特許を日本で取得
2019年ブロッコリー多糖体抽出方法の特許を台湾で取得
2021年ヒト臨床試験の実施
2023年神戸大学と共同研究を開始
ヒト臨床試験の実施

お読みいただき、ありがとうございました。イマジン・グローバル・ケア株式会社では、動物実験、細胞実験、ヒト臨床試験を行っています。わかりやすく解説していますので、そちらもご覧ください。

私たちは免疫を研究することで、その先にある「健康長寿」の実現を目指しています。すべては皆さまの健康に貢献し、幸せになっていただくために。最後になりますが、健康第一で、どうかお体を大切にお過ごしください。

イマジン・グローバル・ケア株式会社 代表
保健学博士 木下弘貴