日本人は野菜を食べなくなっている?
元々、日本人の主菜は野菜が中心で、昭和30年(1955年)頃までは野菜を非常にたくさん食べていました。
ところが戦後、欧米式の食習慣が日本に根づくようになってから、野菜の摂取量はどんどん減少しています。
アメリカ人の野菜の摂取量は増加
一方で、アメリカ人は昭和40年(1965年)代までは、野菜の摂取量は日本人よりもはるかに下回っていました。
しかし、アメリカ人の健康改善のために国が行った「マクガバン・レポート」と「デザイナーフーズプロジェクト」の影響で積極的に野菜を摂取するようになり、1990年頃にはアメリカ人の野菜摂取量が日本人を上回りました。
がんの罹患率の変化(日本とアメリカの比較)
アメリカ人の野菜の摂取量が増加するとともに、1990年以来、アメリカにおいてそれまで減ることのなかった癌の罹患率が劇的に減少してきました。
一方で、野菜の摂取量の減った日本では、がんの死亡率は全く減ることなく、逆に近年では増加の傾向がみられます。
おわりに
現在、日本では食生活が高カロリー、高タンパク、高脂肪の西洋型に変わり、生活習慣病が急増しています。食生活が全ての原因ではないにしても、「食事と健康」には本当に深いつながりがあると私は考えています。
食生活を変えただけで体重も減り、血糖値も下がり、血圧も正常に戻ったという患者さんが多くいらっしゃいます。何を食べるのかということと、食べ方によって健康状態というのは大きく変わっていくと私は信じています。
髙橋 弘 先生 医学博士
麻布医院院長 ハーバード大学医学部内科元准教授
ファイトケミカル研究家。日本肝臓学会肝臓専門医、日本消化器病学会専門医、日本内科学会認定内科医。米国消化器病医師会フェロー、米国癌学会正会員。1977年、東京慈恵医科大学卒業後、同大学院博士課程(内科学専攻)に進学、同付属病院で臨床研修。1985年、ハーバード大学医学部留学。ハーバード大学付属マサチューセッツ総合病院にて、フェロー、助手、助教授を経て准教授となる。慈恵医科大学教授、セレンクリニック診察部長などを経て、2008年、医療法人ヴェリタス・メディカル・パートナーズ理事長、2009年、麻布医院院長に就任。食事と病気の関係に着目し、ファイトケミカルを患者に積極的にすすめて成果を上げている。