健康を支える成分の秘密
ブロッコリー多糖体の物語
イマジン・グローバル・ケア株式会社
創業者 木下弘貴
~父の死と東京大学での研究~
木下 弘貴 博士(保健学)
1967年生まれ。東京大学大学院医学系研究科修了。調剤薬局を開業し、全国110店舗まで拡大。父が肝臓がんで他界したことをきっかけに、医学の道に進むことを決意。経営していた薬局で患者様と接する中で、「病気を未然に防ぐことが重要だ」という信念が強まり、予防と健康増進を目指すことに全力を注いでいる。
こんにちは。イマジン・グローバル・ケア代表、保健学博士の木下弘貴と申します。
「なぜ、ブロッコリー多糖体なのか?」父への思いから始まった挑戦の物語を、ぜひご覧ください。
肝臓がんで父が他界
20数年前に、私の父は肝臓がんで亡くなりました。
当時、私は経営者として働きながら、東京大学医学部の大学院に通っていました。教授のつてで東大病院に肝臓がんのレーザー治療の第一人者がいると知り、父の診察を予約しました。
診察日、体調がすぐれない父に付き添いながら、病院の待合室で3時間半もの間、ただただ待ちました。胸の中では、希望と不安がせめぎ合っていました。そして、やっと診察室に入った私たちに、先生は静かに、しかし冷静な声で告げました。
「これだけ癌がたくさんあると、もうできることはないですね」
その言葉を聞いた瞬間、私たちは何も言えず、静かに病院を後にしました。東大キャンパスに出ると、目の前には銀杏並木が広がり、見事に紅葉した黄金の葉が風に揺れていました。その鮮やかさに一瞬目を奪われたものの、心の奥に沈む現実の重みが、その輝きをどこか遠いものに感じさせました。色鮮やかなはずの景色が、かすんで見えたのです。
父は長年C型肝炎を抱えながらも懸命に生き抜いてきましたが、今ではそれが飲み薬で治る時代。もし、あのウイルスがもっと早く発見されていたなら…もし、治療薬が一日でも早く開発されていたなら…そう願わずにはいられませんでした。そもそも、父が感染することなく、この病と出会わなかったら…未来が違っていたかもしれないと、何度も自問しました。その度に、胸に押し寄せる後悔と無力感が、銀杏の葉の一枚一枚に重なって散っていくようでした。
薬局での経験
調剤薬局チェーンでの日々の経験は、私の研究への想いをさらに強くしました。
薬局を訪れる多くの方々は、糖尿病、高血圧、高脂血症といった慢性疾患を抱え、一生涯薬を飲み続ける生活を強いられています。彼らの顔に浮かぶ疲れや諦め、そして薬に頼らざるを得ない現実に触れるたび、胸が締め付けられるような思いを抱かずにはいられませんでした。
「自分にもっとできることはないか?」「病気になる前に助けられないか?」と悩む日々が続きました。
東京大学での運命的な出会い
-免疫研究の始まり-
胸に抱いた無念の想いから予防医学を志し、東京大学で学んでいた時に、「カイコを使って免疫力を測定するという世の中に知られていない革新的な研究」をしていた教授と出会いました。
「これだ!この方法を使えば、きっと人々の健康に貢献できる!」と確信し、一緒に研究をすることになりました。そして、調剤薬局の経営から離れ、この研究に私の一生をかけることを決意しました。
カイコを使って免疫を測る?
なぜカイコ?と思われるかもしれません。
カイコは姿かたちこそ人と違いますが、その体の仕組みは人とよく似ているのです。
医薬品の効果や病原体に対する感受性が人に近く、同じ病気にかかり同じ薬で治るという特徴があります。医薬品開発に役立つモデル生物として利用されており、ワクチンや抗体製剤の製造、がん治療用ペプチドの生産、自己免疫疾患に対する治療薬の開発に使われています。
即座にわかる免疫力!
カイコが拓く新しい測定の未来
カイコと人の免疫の仕組みは似ていて、カイコの免疫力を高めるものを探すことは、人の免疫力を高めるものを探すことにつながります。実際に、人の免疫を高めると言われているアガリクスやフコイダンを始めとするきのこ・海藻・米や小麦などの多糖体、乳酸菌等は、カイコの免疫も活性化します。
東京大学の研究チームは、「カイコに免疫を活性化する成分を注射して免疫細胞が活性化すると、筋肉が縮む」ことを発見しました。さらに、「筋肉が縮んでいるほど注射した成分の免疫効果が高い」ということもわかりました。
この発見は世界的に権威のある科学誌「The journal of biological chemistry」に掲載されています。
この発見にもとづき、私たちは免疫効果を測定する技術を開発しました。
様々な成分をカイコに注射した時の縮んだ長さを比較すれば、どの成分が免疫効果が高いのかを、迅速かつ客観的に測定できるのです。
【免疫評価に革命!カイコで迅速かつ正確な効果測定】
人に免疫活性化成分を投与しても、即座に「免疫力が上がった!」とは本人は言えませんし、周りも評価するのは難しいですよね?人の場合、免疫効果を測定するには数週間が必要で、その間に生活習慣や服用薬、個人差などさまざまな要因を考慮する必要があります。しかし、カイコを用いると、リアルタイムで測定が可能です。さらに、実験に用いるカイコはクローン個体であるため、個体差をそこまで気にする必要がなく、免疫力の変化を正確に数値化できるのです。
この技術によって、より多くの成分の免疫効果を素早く正確に測ることができるようになりました。
後に、この技術の革新性が認められ、東京大学と共同で特許を取得しました。
最も免疫力を高めた成分は?
化学合成されたものではなく、自然に存在する「野菜・きのこ・海藻」を対象として免疫を高める食品を探しました。最初は、免疫を高めるといわれている「プロポリス」「アガリクス」「フコイダン」なども試しましたが、ある程度の免疫活性しかみられませんでした。
最終的には、5年間をかけて、果物、野菜、きのこ、海藻など数えきれないほどの食品を試験しましたが、意外と身近な食品に隠れた免疫活性効果があるとかもしれないと考えたところから、研究対象が広がりました。
緑黄色野菜、例えばトマトの赤やブロッコリーの緑など、野菜の色素にはファイトケミカルと呼ばれる健康成分が含まれるといわれています。そこで、色の濃い野菜は、免疫活性作用が強いと考え、なかでも「スーパーフード」として注目されるブロッコリーを試験しました。
その結果、ブロッコリーから100℃を超える熱で抽出した成分が、これまで試したどの成分よりも圧倒的に強く免疫を高めることがわかりました。
その成分こそが、ブロッコリーの中に含まれる多糖体、「ブロッコリー多糖体」でした。
以下のグラフは成分ごとの免疫活性値です。ブロッコリー多糖体の免疫活性作用が強いことが分かります。
試行錯誤で開発した抽出技術
ブロッコリー多糖体を発見した後は、「高い活性をもつブロッコリー多糖体を、人が毎日摂取できるほど安定的に多量に取り出すにはどうすればいいのだろう?」ということが課題でした。
この成分は強い免疫活性があるものの、家庭での通常調理ではほとんど取り出せません。
そこで、抽出方法を研究しました。
「どうすればあれほど高い免疫活性を繰り返し確認できるのか」「抽出条件はどういったものであれば良いのか」何千回にも及ぶ実験を繰り返しました。
その結果、100度を超える温度で熱でブロッコリー多糖体を抽出する際に、原料とするブロッコリーと水についての2つの重要なポイントがわかりました。
①ブロッコリーが新鮮であるほど活性が高い
②抽出水の純度が高いほど活性が高い
この重要な発見をもとに、温度と時間の条件、免疫活性を阻害する物質を取り除く工程を見直し、活性の高いブロッコリー多糖体を抽出する技術を確立しました。
抽出技術についても東京大学と共同で特許を取得しています。
抽出のための自社工場の設立
どこか抽出できる場所がないか、日本中のあちらこちらの工場を回りましたが、残念なことに、条件が複雑かつ特殊な方法であったために、請け負ってくださるところはありませんでした。
「あと一歩なのに、諦めたくない!」その思いから、どうすれば良いか必死で考えました。
他社工場で条件に合うものがなければ、「自社で工場を設立すればよい!」
他社でお願いすることは諦め、自社工場を静岡に設立しました。鮮度の高いブロッコリーを使用することを徹底し、良質な水をふんだんに使用し、多量の高活性のブロッコリー多糖体を安定的に抽出することができるようになりました。
共同研究と特許
2006年 | 東京大学と共同研究を開始 |
2012年 | 米国:製造方法の特許取得 |
2013年 | 欧州:製造方法の特許取得、日本:製造方法の特許取得 |
2014年 | 日本:成分の特許取得 |
2019年 | 台湾:成分の特許取得 |
2023年 | 神戸大学と共同研究を開始 |
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
「世界中の人々の健康寿命を延ばしたい」- 私は本気でそう思っています。
身近な人が病と闘う姿を目の当たりにし、無力さを痛感したあの日から、予防医学への情熱が私を突き動かしてきました。そんな想いを胸に、当社と東京大学が手を取り合い、長い研究の末にたどり着いたもの、それがブロッコリー多糖体です。
ブロッコリー多糖体の黄金色のエキスには、免疫細胞を活性化する力が秘められています。多くの試行錯誤と数え切れない困難を乗り越えてようやくこの成分に出会えたとき、胸の奥から湧き上がる感動と希望を感じました。私にとってブロッコリー多糖体は、ただの発見ではなく、夢を実現するための「希望の光」です。
イマジン・グローバル・ケア株式会社 代表
保健学博士 木下弘貴