ブロッコリー抽出エキスをどのように発見したの?
アガリクスに含まれるβ-グルカンや昆布に含まれるフコイダンなどの多糖類は、免疫を活性化することが知られています。
ブロッコリー抽出エキスに含まれるRG-Iも多糖類ですが、β-グルカンやフコイダンを大きく上回る免疫活性化作用を示します。
ここでは、私たちがブロッコリー抽出エキス(RG-I)を発見するまでのストーリーをご紹介します。
植物成分、とくに多糖類に注目して免疫活性化成分を探索
免疫を活性化する植物成分としてβ-グルカンやフコイダンなどが知られています。これらの多糖類は、固い細胞壁の内側に存在していることがわかっています。
そこで私たちは、新たな免疫活性成分を発見すべく、植物の細胞壁の内側に存在する物質に注目して研究を始めました。
具体的には、様々な野菜や果物から細胞壁を壊して抽出したエキスを使って、免疫活性レベルを比較していきました。
東京大学での研究
まずは、東京大学で行われた画期的な研究である、『カイコを用いた免疫活性レベルの測定方法』をご説明します。
免疫活性の測定(カイコを用いたin vivo試験)
免疫は、体の中で多種多様な細胞が複雑に助け合って機能する体を守る仕組みです。そのため、免疫が活性化しているかどうかを判断するためには、ヒトやマウスなどの1個体をつかって全身の免疫を評価する必要があります(個体を使った全体的な評価)。体から取り出した一つ一つの免疫細胞(樹状細胞など)の活性を確認しただけでは、実際にその人やそのマウスで、全体的に免疫が活性化していると断言できません。
ところが、ヒトやマウスなど哺乳類では、1個体を使って、全体的な免疫活性レベルを数値で評価することは簡単ではありません。
そこで、カイコの登場です。カイコを使えば、1個体の全体的な免疫活性を簡単に評価できます。カイコは、全身の免疫が活性化しているかどうかを、とても分かりやすく教えてくれるのです。

カイコを使って自然免疫の活性を測定

しかし、カイコと人は体の仕組みに共通点が多いことがわかり、新薬の開発にも利用されています。最近では、新型コロナウイルスのワクチン開発でも注目されています。

カイコにも、人と同じように白血球があり、自然免疫が備わっています。
しかし、カイコでは、免疫が活性化すると、筋肉が収縮して体が縮む性質があります。免疫が強く活性化するほど、より収縮します。
この性質を利用して、様々な成分をカイコに投与して収縮レベルを測定すれば、投与した成分が、どのくらい免疫を活性化する力をもっているかを調べることができます。

東京大学の研究室では、様々な種類の植物抽出エキスをつくって、カイコに投与して体が縮む度合いを測り、免疫活性を調べていきました。
いくつもの植物を試した結果、最も免疫を活性化させるのたが、RG-Iを含むブロッコリー抽出エキスであることがわかったのです。
植物由来の活性成分の抽出(東京大学と特許取得)
次に、植物の固い細胞壁の内側から免疫活性作用をもつ成分を取り出す研究をご紹介します。
植物の活性成分を利用するためには、細胞壁を壊して取り出す必要があります。しかし、植物の細胞を保護する細胞壁は硬くて頑丈なので、切る、茹でる等では壊すことができません。そこで私たちは、東京大学と共同で、植物の細胞壁を破壊し、効率的に活性成分を抽出する方法を開発しました。
東京大学と共同で特許取得した抽出方法
私たちは東京大学と抽出方法を共同で開発し、ブロッコリーの花芽細胞から免疫活性成分RG-Iペクチン様多糖類をブロッコリー抽出エキスとして取り出しています。
国際特許も取得
私たちは、世界でも注目を集めるこのブロッコリー抽出エキスの製造方法について、東京大学と共同で、日本、アメリカ、欧州で特許を取得しました。
特許(日本国内:5394233, 5491082、アメリカ合衆国:8313779、欧州:2133693)

こうした技術がないと、ほとんどRG-Iを取り出すことはできません。
したがって、ふつうに調理されたブロッコリーを食べても、なかなか免疫を高める成分を取り入れることができません。